ココボロだとか好きだとか

大学院生による独り言と備忘録

蝋梅のはなし

蝋梅を見に行った。

蝋梅

蝋梅とは学名Chimonanthus Praecox(記憶をたよりに打ち込んでいるのでスペルが間違っているかもしれない)、英語ではWinter Sweetと呼ばれるクスノキ目、ロウバイ科の花である。ちなみにロウバイという名ではあるがウメとは関係ない。梅はバラ目バラ科であり、科どころか目から違うので結構遠い。名前だけである。

 

学名を諳んじることができるレベルで、私はこの花のことが好きである。とはいえど自宅で育てたりというものではなく、時期になると見に行くという固執の仕方だ。

蝋梅の名の由来は、まるで蝋細工で作ったような透明感を持った、梅に似た形の花であることと云われており、英名もそのまま、冬時期にほかの花が咲かない中でひときわ目立つ甘い香りを放つ花であることだとされる。私は花の形もそうであるが、この香りに惹かれている。

 

 

Musashino WorksのRoubaiの香水

この写真は、あんまり上手くないなあと思いつつも、撮り直すのが面倒くさいのでこのままとする。

私が初めてこの香水を買ったのは高校生の頃、初めての香水がこのRoubaiであった。当時はこの写真とは異なるラベルで、切手の様な縁取りではなく、もっと直線的なポスターの用なラベルだったはずだ。が、おそらく容器自体は変わっていないだろう。

そもそも私はあまり香水を使わないのであるが、しっかりとメイクアップするときには香水も纏う。なんのために香水をするのか、というのは人によって答えが異なるのかもしれないが、私にとっては自分のためというのが回答だろう。今のように寒い時期には、マフラーを外した時とか、電車に飛び乗ったりした際に、ふと香る。私は、自分自身がその匂いに塗れる、匂いを発するというよりも、ふと気づいたときにそれを香ることが好きなのだ。

ちなみにこの香水は蝋梅を使っていない。蝋梅では工業的に十分な量の精油を得ることができないのだという。サイトによると大抵の花の香水は同様で、他の香りの組み合わせで目的のモノを再現しているらしい。(https://www.fragrance.co.jp/f4/a501.html)

実際、この香水は蝋梅の香りに近い。フローラルな、間違いなく花だと思う甘い香りであるが、その中には少しのとげとげしさというのだろうか、スパイシーというのか、甘いだけではないという主張が感ぜられる。

 

 

なんか途中から香水の話になってしまったがとにかく、蝋梅が好きなのである。

あの、濡れたガーゼのようにしっとりとした発色で、向こうが透ける小さな花。花弁は小指ほど小さく、昭和を感じる田舎の街灯のように頭を垂れる。高さ1.5mくらいの低木で花々は密集して独特な甘い香りを放つ。

冬の日、ほかの花が咲くよりもずっと前に、ただひとりだけ黄色い花が咲く。その花はたとえあたりが雪であっても健気に咲き誇るのだ。最も厳しい時期に、次の梅が咲くまでの間、人々に甘い香りを届けて勇気づけるのである。

 

余談であるが、私が蝋梅を見に行くときに限って、空は鈍色をしている。いつか白い雪に青い空、蝋梅の写真を撮りたいと思っている。