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大学院生による独り言と備忘録

Junaida展に行った話

入場券

Junaida展に行った。

いつもは、伺った展示会の話をすぐにすることはないのだけれど、今回は特別。場所は立川。立川市にはもともと縁もあり、高校生の頃はよく通った。あの東京ならではの整備された街並みと、少し駅から離れると取り戻される田舎の落ち着き具合の加減が、私には丁度いいように思われるのだ。

 

Junaida氏は京都を拠点とする絵本作家であり、多くの人がそうであるように、私も2,3年前の蔦屋書店でのプロモーションで名前をきき、興味を持ち始めた。

少しレトロなタッチでいながら実直なイラスレーション。あまり細部に精密な書き込みを行うわけでもなければ、独特な表現を行うわけでもない。しかしながら、どの作品を見ても氏だろうと分かるナニカがある。それは水彩の濃淡であったり、題材や構図であったりするのだろう。

私が思うにJunaidaは想像の絵本作家だ。きっと彼は、頭の中に原画をもっておりそれをそのまま紙の上に落としているにすぎないのだろう。彼は白の具材を使わない。彼が描くイラストレーションには比較的余白や白い部分が多いが、それはすべて紙の色である。白を残しながら書き上げるそのスタイルからも、試行錯誤をして絵を描き上げるのではなく、何かしらの"元"を表現しているにすぎないのだろうと感じている。

 

また、その作品の構図もまさにイラストレーションというにふさわしく、余白の中に、題材がそのまま映し出される。つまり何かしらの"元"というのは頭の中に浮かんだモチーフの事であって、それをそっくりそのまま描き上げているのだろう。まさに、画家というよりもイラストレーターという表現がふさわしい。

 

 

今回のJunaida展、私はもちろん原画を目当てで伺ったが、結果としては原画よりも空間設計の方が興味深かった。張替那麻氏が空間デザインを担当したとのことだが、彼女の活躍がこの展示会を一層面白いものにしてくれたのだと思っている。

特に感心したのが交錯の回廊。ここの終わりでは『怪物園』の怪物たちが行進するアニメーションが4台のプロジェクタにより映し出される。その手前にはライトが一つ置かれており、廊下のちょうど真ん中を歩くと壁に観覧者の影が映る。

このアニメーションの前半は怪物たちのシルエット、後半がカラーの怪物たちという後世になっており、観覧者はまるで、そのシルエットごと怪物の行進に紛れてしまう。PlayMuseumeが体験型を謳っているかは知らないが、面白い経験だ。

 

浮遊の宮殿でも様々な原画が展示され面白かった。特に、『の』の展示は曲面の壁をうまく利用し、原画と絵本の本文を表現しており、よくできている。メインイラストレーション三枚も引くほど美しく展示されており、彼女の作品(展示の仕方)に感服するしかない。

メインイラストレーション

 

他にも潜在の間など、感銘を受けたところはいくつかあるが、特に感激したのは以上の二つである。

 

ということでそろそろおしまいにしよう。

とにかく面白い展示会であった(語彙力)。特に興味深かったのは張替那麻氏の空間デザインで原画を引き立てる彼女のセンスには感激した。

また、今回はお土産としてトランプとピンバッジ、ポストカードを買ってしまった。いつもならピンバッジとポストカード程度にするのだが、トランプがかわいくて...

本当はポスターも欲しかったのだけれど、残念ながら私の部屋にはもうスペースがないので見送りとした。来年度の夏ごろに関東で展示会周りをするらしいので、もう一度行く機会があれば手に入れることとしよう。

 

確か一月の上旬までだったはずなので、興味がある方はぜひ行って頂きたい。立川駅から歩いて10分ほどのPlayMuseume。近くにはたましん美術館や極地研究所の北極・南極館などもあり、余裕で一日潰せる。というか映画館もあるし、昭和記念公園もあるし、高島屋伊勢丹もルミネもあるからマジで数日潰せる。

立川。良いところなのでぜひ。