ココボロだとか好きだとか

大学院生による独り言と備忘録

回想

なにか書きたくなった。

 

久しぶりの体調不良で、早く寝ようと思ったのに寝付けないでいる。

かなわない恋をしていたときに溜まった感情を吐き出すために綴ったメモを読みながら、自分が残すことのできる言葉について考を巡らせた。

最後に振られたときに返した言葉が、いつまでも自分の中で反芻される。

"いつか別の言葉がもらえるようにがんばりますね"

ああきっと、これ以上私らしい言葉は生まれないだろう。この一言のためにあまりにも長い間私は努力せしめられ、前を向かなければならなかった。

 

数カ月ぶりにあなたに出会ったとき、何も声を出せなかった。長かったはずの髪をショートに揃えたあなたがあまりにきれいだったこと。そしてその現実が、私の知らぬあなたの好い人の為であると瞬時に理解できたから。ただのひと目ですら私の心を傷つけるのに十分だった。

どれほど憧れた人であろうと、もう見ることは叶わなかった。

途端惨めになった私はできる限りあなたから離れられる作業に就き、無難に時間を経るために努力を尽くした。心が傷を負いきる前に、なんとか気をそらす必要があった。

 

もうあまり覚えていない。正直覚えていたい記憶で無いからかもしれない。でも偶に不幸せな記憶の方が却って自分を慰めてくれることがあるから、いつも記憶が古くなっては磨き直し、その色を味わい続けている。

 

そろそろ饒舌に文字を綴ることができなくなってきた。

人生の岐路に立つ今、自分の中で優先順位を付けなければいけなくなっている。

私が学問を選んだ理由は、思い返せば不純なものだった。あなたに好かれるため。

私は一番になりたかったのだ。あなたにとって。それが叶わないから、学問を選んだ。努力をして自分自身を変えてしまえば、いつかあなたに好かれ得ると思ったから。

本当はそんなくだらない方向音痴の努力が、あなたに伝わることすらありえないのに。

それでも私の目標は一番だったから、今優先順位の一番は、一番の大学院へ行くこと。ガワだけを見て目指すなんて学問に対する不正だけれど、それが私の唯一の精神安定剤なのだから仕方がない。

 

ヴァニラの香りをした紅茶の味が蘇る。一番惨めだったとき。

何も食べられずに弱っている体に無理やり食事を流し込んで、涙を流すことに決めた。あなたに渡した紅茶は淹れてくれたのだらうか。

所詮全て私のエゴだとでも言うのならばいっそ、何でも好きにやってしまいたくなる。かなわない夢よまた明日。

届かなくともいつまでも希うつもりでいるから。