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大学院生による独り言と備忘録

放射線取扱主任者試験 概要

今回は放射線取扱主任者(以下、RI主任者と略します)についてのまとめ記事です。

 

段落は

・そもそもとは放射線取扱主任者とは

・試験概要

・免許取得までのながれ

・私の受験記、感想

の4つです。

 

次の2つは参考になるサイト(試験のHPとwiki)です

 

[1]原子力安全技術センター, 放射線取扱主任者試験

https://www.nustec.or.jp/syunin/syunin01.html

 

[2]wikipedia,ガンマ線透過写真撮影作業主任者

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E7%B7%9A%E4%BD%9C%E6%A5%AD%E4%B8%BB%E4%BB%BB%E8%80%85

 

 

 

 

 

それではここから本文です。

 

・そもそも放射線取扱主任者試験とは

RI主任者とは、放射性同位体を使用、販売、賃貸を行ったり、放射線発生装置を用いる事業者は放射線取扱主任者を選任しなければならないとされています。

RI主任者には3種、2種、1種が存在し、番号が小さくなるほど取り扱うことのできる放射性物質等の幅が広くなります。具体的には、3種は放射線源の販売や、指定数量の1000倍以下の密封線源の使用のみ。2種は3種+密閉線源で10TBq以下の許可使用が解禁。1種は密封の有無や放射能の上限なく全て取り扱いできるようになります。

また、放射線発生装置、いわゆる加速器の使用は1種のみに限られるので将来加速器に関わりたい人は早めに一種を目指したらいかがでしょうか。

 

 

・試験概要

 

RI主任者は3種、2種、1種存在しますがこのうち3種は10万円程度かかる講習を受け、修了試験に合格すると免状を受けられます。2種と1種とも講習がありますが、講習を受ける前には試験に合格している必要があります。そのため、本稿ではこれら試験についてを話していきたいと思います。

 

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第2種 放射線取扱主任者試験


試験料:1,0389円

試験科目

 ・法令 1時間15分

 ・実務 1時間15分

 ・物化生 2時間

 

 問題は基本五肢択一式ですが、実務、物生化の後半には多肢択一問題があります。回答はマークシートです。試験は1日間、午前に法令があり、午後に実務、物生化です。受けてないためあんまりいうことありませんが、とりあえず科目ごとに感想を書いときます。

 

法令は言うまでもなく関連法令について、主には「原子力基本法」「RI規制法」の二つ。あとはRI規制に関する省令、規則、告示に数量等の詳細が定められていますがその程度。被ばく線量限度などに関しては労働安全衛生関連の「電離則」も含まれますのでご注意ください。

 

実務は測定技術や管理について。法令がちょくちょくかかわってくるのでご注意を。それ以外にも核種の半減期やおおよそのエネルギー等(ほかの核種と比べての大小)が出題されたりするので基本的なものは覚えておきましょう。

 

物理に関しては難しい問題はまず出ないのですが、放射線に関する現象について理解ができてるかが焦点です。大前提として組立単位が分かっているかどうか、その次の原子力分野特有の単位についての理解度が試されます。あとは各現象についての詳細、反応に伴い放出される放射線の種類や反応確率とエネルギーとの関係などなど。挙げればきりがないですが、相対論についても若干出ますので理解できなくとも式くらい覚えておきましょう。

 

化学は高校までで言う化学というよりも大学化学(当たり前ですが)なので結構物理にも近いです。基本的には元素に着目ではなく核種に着目した問題が出題されます。核種の半減期放射線のエネルギーなど基本的な情報を覚えているかどうかなどが問われ結構暗記ゲーなので頑張ってください。

 

生物についても、化学に引き続き暗記ゲー。被ばくに際して放射性感受性の大小を問われたり、様々な疾病のしきい値なども出題されます。あとは高校生物程度の細胞に関する知識(分裂周期やDNA配列など)もかかわってくるのでなじみがないとつらいかも。
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第1種 放射線取扱主任者試験


試験料:1,4565円

試験科目

 1日目

 ・法令 1時間15分

 ・実務 1時間15分

 ・物理 1時間50分

 2日目

 ・化学 1時間50分

 ・生物 1時間50分

 

問題は基本五肢択一式ですが、法令を除く各科目の後半には多肢択一問題があります。回答はマークシートです。各日の最終科目は所定の時間で途中退室が可能になります。

 

2種と同じように、科目ごとに書いていきましょう。

 

法令は、2種と比べて1種では取り扱うことのできる核種の量が増えますので、その部分がちょっと追加。あとは各免許によって取り扱える範囲とか、申請、許可、届け出とかの区分も出ます。それともう一つ、加速器についても1種は取り扱えるようになりますので、お忘れなきよう。といっても法令はあんまり変わらないです。

 

実務。法令と同様、2種と比べて増えた分をしっかりカバーしましょう。私の時は出だしからゲルマニウム半導体検出器などの比例計数管のチャンネルと入射エネルギーとの関係などがとわれました。この問題は放射線と物質との相互作用の理解も問われており、実務はもちろんですが、物理についてもしっかり理解していないと取れません。当たり前ではありますが、実務の知識というものは、物化生法の応用力が問われますので、それぞれの科目をしっかり理解することが大切でしょう。

 

物理、化学、生物については、ほとんどいうことはありません。二種と同じく五肢択一式ですので基本的には同じような問題です。ただし、科目が分かれた分ボリュームがめちゃくちゃ増えてますので、対策時間はそれなりに必要です。また、それぞれの科目の問31,32は選択肢郡から回答を選ぶ形式であるため、やや難易度が上がります。これらの問題はもともと「物化生」という科目であった部分が分配されたようなものですので、過去問を使うのであれば、物化生が科目としてなくなったからといって放置するのではなく、しっかり解くべきでしょう。

 

・免許取得までの流れ

免許取得のためには試験合格のみでは足りません。試験合格はあくまでも、講習の受講資格であり、試験合格後に2種なら2種、1種なら1種の講習を受講し、その最終日に行われる試験に合格する必要があります。

2種の場合は3日間の講習を受講します。受講料はおおよそ10万円程度です。受講会場によって値段がやや異なり、宿泊施設の質も異なるようですので、様々調べてみることが良いでしょう。

1種はさらに日数が増え五日間、17万円ほどの受講料となります。主催者によっても講習の予定が大きく異なりますが、アイソトープ協会は非常に多くの講習が開催されておりますので、調べてみてください。

なお、試験には年齢制限がないのですが、講習は18歳以上が対象となっております。高校生などお若い方はもうしばらくお待ちください。

 

 ・私の受験記、感想

 

私が受験を決めたのは大学一年の夏。目標を失って死にかけてた私はなにか縋るものを探し、二年のうちに放射線取扱主任者試験を受けることを一つの目標にしました。

そのための足掛かりとして11月にエックス線作業主任者を受験、翌年の夏に向けて3月に放射線概論を購入しました。それ以外の参考書は大学の図書館で借りて使っていました。

そして来る4月。そうコロナ。コロナウイルス流行のため大学が休校となり春休みが1月半伸びました。あまりに暇になっては荒んだ生活に陥ってので、規則正しい生活の為、4月に入ってからは大学の授業時間割をもとにRI主任者試験の勉強時間割を作成して勉強をはじめました。

この頃はまだなんの知識もなかったので、放射線概論をひたすら読んでました。多分この4月の間に3週くらいしたかな。問題はほとんど解いていませんが。

 

それで、5月くらいかな。本来であればお盆明けにある試験が延期になったのです。日程は未定。そんな情報が公開されてさっとやる気がなくなりました。

特段理解できていたわけではないですが、やる気もないのでほとんど放置。ほぼ同時期に大学も始まりましたので(オンライン)授業で手一杯でした。勉強を再開したのは9月かな。

9月はまた別の事をやり始めていて忙しかったのですが、技術士一次試験を受けると決めていたので、その足しになればとちょっとだけ復習。1周くらい。技術士一次試験は別の記事がありますので詳細はそちらで。

たしか夏ごろには12月へ延期したとのお知らせが入っていたような気がします。

で、なんやかんや忙しく、技術士一次試験を受けてからはまた放置、次は12月。

12月に入るとようやく勉強に本腰を入れ始めました。と言っても大学の授業もあるし、アルバイトもしてるし、他の予定もあるしで別に余裕はありませんでしたが、余裕がないからこそやる気が出るってもんですよね。このころは放射線概論よりも、試験対策用の参考書、よくある「一発合格」とか「●●週間で」見たいな参考書を使って一問一答的な問題を繰り返し、週に一度模擬試験、最終週にはほとんど模擬試験の解き直しをしてました。

 

そして来る試験日、あまり乗らない電車で初めての駅に降り立ち試験会場へ。会場には人がたくさんいたし、寒いのにも関わらず会場は換気のため非常に寒く最悪な環境。

場所は外語大だったので、目の前にコンビニはあっていいのですが、確か駅から遠く息はバスに乗っていったかな。帰りは歩きで帰ったので、多分徒歩範囲30分以内だったと思います。駅周辺はいたって普通で特段語るべきことはなかったはずです。

 

一日目の受験では、得意な法令と実務を無事終え、来る午後の物理。私の年の物理大門31,32は加速器についての多肢択一問題でした。これがわからない。加速器サイクロトロンやシンクロトロン、タンデム型、バンデグラーフなどなどいろいろ見たいことはあるものの、動作原理なんてただ磁場をかけてフレミングの左手だよな~程度の理解しかしてなかったので、よくわからない。そもそも加速器にはさほど興味がなかった学生だったので、解けませんでした。

各日の最終科目のみ、試験開始から1時間で途中退室が認められていますので、残り2,30分ほどを残して帰りました。分からない問題に悩むよりもさっさと帰って翌日に備えようと思ったのです。なぜなら私は化学が苦手ですから。

二日目も一日目と同じく、余裕をもって到着。自宅は外語大から近くないものの、宿泊するほど遠くもなかったため、自宅から二日とも通いました。今でしたら多少お金に余裕があるので近くに宿泊していたでしょう。試験日の余裕ほど大切なものはありませんから。ということで、余裕があるならば都民や近隣県民であっても宿泊をお勧めします。どうせ年に一回しかないのですから、惜しまず行きましょう。

二日目の科目については特段言うこともありません。化学は苦手科目なので私の合否は化学で50%とれるかどうかでした。手ごたえとしてはまあギリギリかなくらい。化学も生物も110分とかなり長い試験なので、化学が終わり次第すぐに昼休憩、午後に生物でした。生物は久しぶりの塩基配列の問題とかで楽しかった記憶です。

 

まあなんやかんやで二日間の試験を終えて、あとは正誤発表と合格発表待ちでした。

そしてこの正誤発表までが非常に長い。12月末日に試験を受けて一月後の2月1日にようやく正誤発表。みんなでつくる解答速報を使って採点とかもしましたが、技術士一次試験の経験によると意外と役に立たない。技術士の際も同じサイトで答え合わせをしてましたが、その結果だと不合格。しかしながら実際は合格であり、意外とみんなも間違えているのだなあという感じです。それに五肢択一式の採点はできるのですが、多肢択一の場合は、フォーマット的に集計が難しいのか、採点できません。確か、twitter放射線取扱主任者試験の問題解答かなにかを作ってるアカウントがあり、その方の情報を活用していた気がします。

そうしてひと月待ちようやく採点。結果は正答率63%でギリギリ合格。問題だった化学よりも物理の方が正答率が低かったのでした。ちなみに、試験はそもそも配点を公表していないため、問題数ベースで6割はやや不安でした。6.5割もあれば、まあ大抵の配点であっても心配いらないと思いますが、ギリギリのラインだと配点によっては落ちかねないので、安心のためにももう少し点数が取れていればと思います。

合格発表は3月の28日。みんな3月1日には合格発表だと思っていたので5chのスレはずっと荒れ気味でしたね。結局受験から3か月ほどたっての合格発表なので散々じらされたというか、もはや忘れかけていたというか......。たしかtwitterか何かで話題をみてサイトを確認しにいった記憶があります。

また、合格者は官報に掲載されます。官報に名前が載ったのは二回目。技術士一次試験と放射線取扱主任者試験です。技術士は対して勉強もしなかったし、そんなに思い入れがなかったのですが、主任者試験は原子力分野としては結構大事な試験ですので、記念品として官報を購入しました。なんかネットで販売しているサイトがあり、発刊日と発刊名称が分かれば1,000円くらいで買えたはずです。私が買ったのは合格から半年後くらいで、ふと思い立って購入したものなのであまり覚えていません。が、この官報購入は発刊から1年以内じゃないと対応してくれませんし、また、ネットで官報が見れるのは発刊から1月以内なので、内容を確認してから買うためにはできるだけはやい方がいいでしょう。私は安全技術センターでの記載名称とネットで官報での発刊名称を見合わせながら購入しました。相当いいことももしくは悪いことをしない限り再び官報に名前が載ることはないので、いい記念品になりました。

 

 

まあ長くなりましたが、なんやかんや以上です。